映画『ALWAYS 三丁目の夕日』感想

http://www.always3.jp/
http://www.always3.jp/topics/051105ticket/(300円割引券)


漫画カテゴリだけど映画の感想です。
自分は原作(「夕焼けの詩」西岸良平)のファンで、早く見たくて試写会に応募してみたら当たったので一足先に見ました。原作のイメージぶち壊しだったらイヤだなぁと思いつつあまり期待しないで(<ひどいや)実際見たら……

かなりの良作でした!(映画『電車男』と同じ「期待してなかったのにとても面白かった」パターンは今年で2度目だ。なんかツイてるなぁ)
たくさんCG使ってるそうですが殆ど違和感もありません。凄いね今の技術。
ストーリーは正直「すごい展開の名作だ!」とか「感動してひたすら涙が止まらないです!」……というような話では無いし、ワリとオチが読める話ですが、なにか心にジンワリくるものがあるのです。と言っても感動だけではなくて笑えるシーンもいっぱいあるので、お涙ちょうだいっぽさがいくらか相殺されてよい匙加減。
原作とは若干設定変更(後述)がありますがイメージはピッタリなので、原作ファンにもオススメします。


戦争の痛手からようやく抜け出して*1、みんなが明日を信じて一所懸命だった時代の純粋さがいいのかな……。今より(良い意味で)単純だしね。現代社会は複雑だし、ちょっとね、先が見えてる感じもするしね(トホホ)キャッチコピーにもあるように「物が少なかったのにどうして楽しかったんだろう」てな風。不思議だー。


作品の舞台の昭和33年には私(昭和50年生)まだ生まれてないんですが(作品中の子どもが自分の親と同世代です)昭和の懐かしい感じがしみじみと蘇ってきます。子ども時代はまだ昭和だったからリアルに懐かしい所もありました。扇風機に声を当てたりしたよなー(笑)ああいう小さい店で駄菓子も買ってたしさ。


個人的に疑似家族物がツボなので、茶川さんと淳之介(名前の元ネタは言うまでもない)のエピが好きです。当初は他人だし「厄介者を押しつけられた orz」と困ってた茶川さんがひょんなことで淳之介と仲良くなっていって最後には……。口が悪いけど本当は、な所がまた良い。
#六さんと鈴木オートも疑似家族と言えますね。
全体的に、大人が子どもを思いやる気持ちがいいんだよー。子どもって不完全で言うこと聞かない勝手な存在なんだけど、それでも大切にしようという暖かい気持ち。ソレがこの映画の美徳なのかもしれません。

子どもといえば、「サンタさんの正体のネタバレ」があるので小さい子どもには見せちゃダメー(笑)そうじゃなくても、これは人生を幾分か経験した人じゃないと面白さが分からない大人の映画ですね。*2(原作も「ビッグコミックオリジナル」の連載だしね)


基本的に真っ直ぐひたむきな映画ということで、ひねくれモノ好きな私の趣味外の筈なワリに面白く見れたので、普段ひねくれてるアナタもたまにはこういうの見て「うっ」と来てもいいんじゃないかな?


最後に、原作ファンとしてツッコミをいくつか(若干ネタバレ有。伏せます)

  • 六さんが女!?

原作では六さんは男なのです(モサっとしてるけど、前髪を上げると美形という。いかにもマンガですね)でも、映画の六さんはあれはあれでいいかと。負けん気があって可愛いし、強気な所が逆に最後の……(<ここはネタバレなので伏せます)シーンで生きるんだよね。

  • 茶川さんが若すぎます

吉岡秀隆が演じると知ったときは「若すぎ……茶川さんはもっとオッサン(初老)じゃないと」とガッカリしたけどダメな文学中年(ギリギリ青年ではないわな)っぷりが良かった。古くさいメガネも似合っててヨイ。(<メガネフェチとして)吉岡秀隆については暗い役柄しか見たことなかったけど、ギャグ有りの役もできるんだね(不勉強でスマソ)

  • 一平の父ちゃんの性格が違う

一平の父ちゃんが原作と一番違ってた気が。原作ではもっと弱気なキャラなので。カッとなって怒る父ちゃんのシーンは私も怖かった。(急に怒鳴られるの苦手です)が、しかし、戦後に苦労したんだという事を言っていたし原作では敵地で死にかけたという話も出てたから彼もまた「戦争」がトラウマになってるのかなと思いました。あと、江戸っ子ってカッと怒るイメージもあるから(“べらんめえ”っての?)と脳内補完。
怒鳴ったシーンの後で勘違いだと分かって謝った所はいいですね(自分が間違ってても謝れない人多いもんね)

一平の母ちゃん(薬師丸ひろ子)の方は原作とピッタリで良かったです。日本の優しいお母さん。

  • ヒロミが色っぽすぎ

原作のヒロミの容姿の元ネタはベティ・ブーブだから、あの世界から浮いてるくらいのキャラでちょうどいいかと(笑)

全体的に見てウッと来たのは、万年筆と手紙とつぎあての中のお金のシーンですね。指輪のシーンもよかったけど、若干やりすぎかなぁ。ハッピーエンドじゃない辛味は良かったです、切ないけどね。

*1:実際、作品中にも戦争のトラウマが影を落としている

*2:私はまだヒヨッコだけどね;