毎年恒例:ななしの的2005年漫画ベスト5

去年選んだのは基本的に除外。今年度分は順不同でお願いします。
参考:2004年度分 2003年度分

菌かわいいよ菌。農大が舞台の漫画です。なぜか細菌が見える主人公・沢木と変人教授と同級生の(主に)ギャグ漫画。ノリ的には「動物のお医者さん」+「究極超人あーる」辺りが一番近いかなぁ……。イヤミや説教にならないウンチクが良い。デフォルメされた菌のカワイさと樹教授のマッドサイエンティスト振りも好きだ!皆も是非“かもされ”て〜!

『緋色の椅子』を読んでから緑川ゆきに注目してます。
本作の内容は、ぶっちゃけ言うと今市子百鬼夜行抄』と同ジャンルの妖怪が出てくる話ですが、あれをもっと叙情的にした感じかなぁ。よくオススメされてる同作者の『蛍火の杜へ』よりもこっちの方がツボでした。ツユカミ様の話とツバメの話が好きすぎる。

江戸時代の男女を逆にしたらどうなる?SFなアイデアとフェミ指向には親和性があると言われますが、その傾向に漏れずイイ!『愛すべき娘たち』あたりの良くも悪くもイタい時代*1を通り過ぎて新しい領域に踏み込む予感。

今年のアニメ化と、ようやく終わりが見えてきたということで一票。最新号がトンでもない所で終わ(りやが)った orz どうなるの!?続きが気になる。ヘンなバッドエンドだけはカンベン;作者のことですから悲惨なオチにはならないと思うんですけど。

読切。遠い世界−架空の話だけど、実際にあんな国はいっぱいあるだろう−の貧困の連鎖、とひとことでは言えない哀しいお話で救われない暗い話。救われないんだけど、いつか……という希望は持ちたい。
余談ですが、サイバラ明智抄永野のりこなど、母性を持った作家(実際に子どもの母親)の度量には頭が下がります。残酷な内容の話を描くんだけど救う力もまた大きいというか。*2


次点:
ルサンチマン』(花沢健吾小学館スピリッツ)
仮想現実でブサイクもモテモテに!というところからスケールが大きくなった話。「ラインハルト越後」というキャラに一票。外見ではなく、彼の精神は貴族だったよ……

『長い道』(こうの史代双葉社
独自のマッタリ感とシュールさに。地に足がついてるんだけどついてない加減がいいんだよな。『夕凪の街桜の国』だけの一発屋じゃないよー。

鋼の錬金術師』(荒川弘スクウェアエニックス・月刊ガンガン)
ちょっと中だるみしてたけど、真相に迫ってきてからまた面白くなってきた。「名作」だが今後「凄い名作」にランクアップしそうな予感。

失踪日記』(吾妻ひでおメディアファクトリー
ロリコン漫画で一時代を築いた作者のホームレス&アル中経験記。画風がアレなので軽いタッチだけど、本当はものすごい暗い話だよなー。それでも生き延びたのはどこか醒めてるからなんでしょう。


その他:
続きが楽しみだよ賞……『Moonlight Mile』(太田垣康男小学館スペリオール
“宇宙開発SF”というだけで燃えるなあ。連載落ちまくりで隔週発売なのに実質月イチ連載になってるのが泣ける……いっそ月イチ連載にしてください。生殺し!

クルッテル!!賞……『みかにハラスメント』(水兵ききスクウェアエニックス
直接的なセクースシーンよりこういう奇襲法の方がエロースなんだyo!と思った。アイデア万歳。

萌えキャラ賞……『げんしけん斑目晴信 (木尾士目講談社アフタヌーン
斑目、メガネくんにも関わらず斑目には興味なかったんだけど、咲ちゃんと寿司の回で目覚めた(笑)「陰から見守りがちのヘタレキャラ」が好きなんだネ自分……。本編もクライマックス!で面白い。荻上さんにも萌え。

期待してるんだけど煮え切らないよ賞……『バンパイア』(徳弘正也集英社スーパージャンプ
あの名作『狂四郎2030』の後と言うことで期待してるんですが、消化不良〜。花沢健吾『ボーイズ・オン・ザ・ラン』にも同じことが言える。2作続けてヒットは難しいのかなあ。


全体的な傾向として、今年は「絶対これ!」って作品がいつもより少なく去年より小粒でした。どれを入れるか悩んだし。そんな中ですが『もやしもん』『夏目友人帳』は注目したいです。「漫画はつまんなくなった」と言う人もいるらしいけど、それでもやっぱり漫画は面白いし大好きなのでずっと読み続けると思います。音楽より気軽に楽しめるしねー。

*1:ボーイズラブ作家が一般誌に移動する際に「男女の身も蓋もないストーリー」を描くことが多い気がします。BLほどでなくてもいいから、もうちょっと夢とか希望が欲しいです……

*2:勿論、母にならないと良い作品を生み出せないワケじゃないし、子を持った漫画家の作品が必ず面白い事もない